この差は47年が経てば解消されますが、経営的に見れば今、手元にキャッシュがあることの方が重要で、全額修繕費とした方が有利になるといえます。
修繕積立金を「小規模企業共済」で経費にする
先ほどお話したとおり、資本的支出はキャッシュフローが悪くなりますが、古い間取りや設備で空室が埋まらないなど、リノベーションが必要な場合があると思います。
そのため、キャッシュフローが悪くなることを想定したうえで、計画的に積み立てを行っていく必要があります。ただ、修繕積立金は経費にはなりません。そこで、「小規模企業共済」を活用すれば、実質的に経費として積み立てることができます。
小規模企業共済とは、個人事業主や会社の役員が事業を廃止、あるいは役員を退職した場合などに、掛金に応じた共済金を受け取れる制度です。
掛金の支払時、その全額が所得控除になります。生命保険料控除が最大12万円ですので、それと比べると大きな節税ができます。ただし、掛金は月額最大7万円(年84万円)までしかかけられません。
共済金を受け取るときには、受け取った金額に課税されますが、税金上のメリットがあります。受け取り方や事由によって、一時所得、退職所得、雑所得で課税されますが、退職所得控除、公的年金控除などがあり、税金が少なくなるようになっています。
ただし、掛けた年数が20年未満で解約した場合は、元本割れになってしまいます。また、個人で賃貸経営をしている場合には、事業的規模が必要であり、かつ、本業がサラリーマンでないこと、法人で賃貸経営をしている場合には、役員であることが加入条件となります。
まとめ
「修繕費」と「資本的支出」を適切に区分して対策を行うことで税額が大きく異なり、その結果キャッシュフローにも差が出てくることになります。
キャッシュフローを良くするためには、なるべく修繕費で計上できるよう、工事金額と工事内容の両面から判断し、その判断した際の証拠書類を忘れずに保存してください。また、確定申告書の貸借対照表のページの「本年中における特殊事情」を記載する欄に、あらかじめその根拠を記載して提出するのも有効な方法だと思います。